手1人あたりの脳振盪発生率」でモニタリングをしている(前ページ参照)。 また、事故の翌年から指導者、学生トレーナーらが救急救命講習会を受講し、AED(自動体外式除細動器)をフィールドに常備したり、アスレティックトレーナーと契約して練習中の安全管理を学生トレーナーと担うようになった。 2004年からは毎年、学生トレーナーらがメディカルスタッフの協力を得ながら、その年度の外傷事例(脳振盪を含む)を分析して翌年度の課題や改善方策などをまとめ、指導者らと共有する「外傷報告会」も開催している。 メディカルスタッフは徐々に充実し、2021年度は6人の医師がチームドクターとして登録し、すべての試合にドクターがベンチ入りしていただいている。その中には、現役時に主将を務めた1995年卒の青山直樹先生も含まれる。トレーナーも週3回の委託契約でPTTから派遣されてきたが、2021年からは練習日に常駐する体制となっている。 ただ、現場で「安全に、強く」を実践していくことには多くの苦悩がつきまとう。 特に頭部・頸部の外傷では、重大事故を防ぐために症状が軽くても試合出場を断念させる場合がしばしばある。時には引退を勧告しなければならないケースもあり、その都度、現場では難しい判断が求められている。 なお、脳振盪において懸念されるのは、症状が通常は1週間以内に解消されるのに、数ヶ月から最長で半年ほど持続してしまう例が毎年ごく少数ながら見られることだ。その原因は判明していない。 現在、部員の日々の体調管理はスマホのアプリを使って行っている。その結果を勘案しながら練習量やコンタクト量についてコーチに配慮してもらっている。夏場の暑さに対してはWBGTを測定し練習開始時間を下げるなど安全面への配慮をしている。 引き続き、メディカルスタッフは、決して慢心することなく選手の生命の安全を守ることを最優先しながら、日本一に貢献できるよう取り組んでいく所存である。51メディカルスタッフの充実実践する現場での苦悩
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