関西学院大学アメリカンフットボール部|創部80周年記念誌
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図5図4た。OLがLOS上で下がらずにコンビネーションでブロックし、QBは3歩のドロップで素早く投げ、キーリードも単純化したことでパスプレーの精度が高まった。特にフォーメーションを工夫しながら守備にCover-3を敷かせた時には圧倒的な成功を収めた(図4)。この試合では90’sを15回コールして14回成功。QB高橋の正確なショートパスは、ボクシングで言えば磨かれたジャブのように京大守備にダメージを与え、3年ぶりの勝利を収めた。しかし、プレーオフで対戦した立命戦では、飛びぬけた運動能力をもつDBにマンツーマンをされて、京大ほどの効果を発揮できなかった。 4年ぶりの甲子園ボウル出場をめざした97年は、Iフォーメーションからのベリー(Belly)オプション・シリーズに活路を見出した。QBがリバースピポットからFBのオフタックルベリーとそれを抜いてのKeepかPitchの選択(図5左)。それにWRのFly-motionを加えることで、リードブロッカー付きのオプション等のさまざまな展開を図った(図5右)。OLのスプリットを広げ(つまりは93年からのゾーンブロックの枠組みをいったん諦め)、RB花房らのカウンターシリーズは維持しながら、ランプレー中心のオフェンスを築いた。立命は優れた人材を質量の高いトレーニングで鍛え上げ、アニマルリッツ(立命)と呼ばれる鉄壁の守備を誇っていた。個々の力量差を戦術で覆すために、守備の踏ん張りを前提に、オフェンスは辛抱強くランを繰り返しながら、QB高橋のロールアウトやプレーアクションを加えてロースコアゲームで勝ちきるゲームプランを考えざるを得なかった。多様なフォーメーションにシフト、モーションを組み入れて守備に複雑なアジャストを強いながら、我々はできるだけシンプルなアサイメントとなるように心掛けた。苦しみぬいた末に立命、京大に競り勝って、法政大との甲子園ボウルも同点優勝を遂げた。 基本的にはこの戦術フレームを2002年シーズンまで維持しつつ、マイナーチェンジを加えていった。 99年はWingT隊形からWRにフライモーションをさせてベリーオプションを展開してオーバーナンバーを生み出したり、そのアクションからクリスクロスを使うなど、かつて62Pro I からのBelly Option90'sの代表的なパスパターンWing T からWRのモーションを入れたBelly Optin

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