関西学院大学アメリカンフットボール部|創部80周年記念誌
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をかける対策を練り、一定の成果を挙げた。また、こうした取り組みが起点となってオフェンスタックルの外に位置するDEや、ブリッツに入るLBがランだけに固執せず、プレーを見極める力が醸成され、QBへプレッシャーをかけられるようになったことは、戦術面の対策よりも効果的だったように思う。 2010年代後半には、RBとOL はランプレーの動きをとり、QBがディフェンスの特定のプレーヤーの配置やリアクションを見て、ランか短めの早いタイミングパスかを判断するといったランパスオプション(RPO)のプレーが随所に見られるようになった。パスディフェンスにおいてQB やWR にプレー開始前にカバレッジを悟られないようにすることは、以前からの鉄則であるが、RPOを止めるためにも、この重要性は増している。 2013年は対ショットガン攻撃に対する戦術面の転換期だったと思われる。チーム状況やプレーヤーの入れ替わりから、パスラッシュをどうきかせるかが課題となったこの年、ブリッツの多用を含めたプレッシャーディフェンスへの転換を試みた。ブリッツなどリスクをとってディフェンスから仕掛けにいけば、当然LOSより自陣側に残るディフェンスのプレーヤーは少なくなり、ロングゲインを与えるリスクが高くなる。この懸念を持って試合に挑んだが、徹底的なブリッツが功を奏し、また、思い通りにいっていない場合でもなんとかなることを実感した。 ショットガン隊形から繰り出される多様なプレーをリード主体の戦術で止めようとすると、プレーに応じてさまざま判断とリアクションが必要となるため、どうしても受け身になってしまう感覚を抱いていた中で、守備でありながらも攻める感覚が強いプレッシャーディフェンスはとても魅力的に感じられた。以降、例えリスクがあったとしても、どうすればOLに思い通りブロックさせないようにできるか、QBに圧力をかけられるかといった発想で戦術を考え、試合で実行することが多くなった。勿論、攻撃によってはリードディフェンスの方が良い時もあり、オフェンスの攻め方やプレー予測のもと、どう使い分けるかは肝心なところである。また、どんな戦術においても、実際の実行にあたってはヒットやタックルで相手を上回ること、素早く集まることが何より重要であり、これが変わることはないだろう。75プレッシャーディフェンス

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